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[非表示]会社設立時に法務局へ届け出る「代表者印(丸印)」。「会社印(角印)」と混同しやすいですが、一体どのようなところに違いがあるのでしょうか。今回は、代表者印と会社員の違いを明らかにしながら、代表社印の役割や用途について紹介します。
代表者印を作成する際に注意すべき点や、ポイントについても解説しますので、これから起業する方、経営者の方はぜひご一読ください。
代表者印(丸印)とは?役割・用途を解説!
代表者印とは、会社の代表が対外的な活動に使用する印鑑です。「会社実印」や「丸印」とよばれることもあります。
会社にとって必要となる印鑑には、代表社印のほかにも「会社印」や「銀行印」などがあり、場面によって使い分けられています。代表者印は、会社にとっての実印の役割をもっており、会社の意思決定を示したり、企業の存在証明をしたりと、非常に重要な役割を果たします。
代表者印が必要となる場面は、主に登記申請書、代表取締役の変更、株券の発行など、重要な契約にかかわる契約書を作成するときです。また、会社の設立時には法務局へ代表者印を届け出なければならないので、会社を起業しようとしている方も代表者印が必要です。
ちなみに、代表者印には個人名を刻印しないため、代表者が変わったとしても、同じ印鑑を使用できます。
法人の印鑑登録に必要なものは?
法人の印鑑登録の手続きは、法務局で行います。登録を済ませることで、代表者印は法的効力を持つようになります。
法人印鑑登録に必要となるもの、書類等は、以下の通りです。
- 登録する代表者印
- 印鑑届出書(法務局のWebサイトからダウンロード可能)
- 代表者本人の実印
- 代表者本人の印鑑証明書(3か月以内に作成したもの)
- 代表者の身分証明書(運転免許書など)
です。本人の実印や印鑑証明書が必要な点に注意しましょう。
印鑑登録は代理人が届け出て行うこともできますが、その場合も、本人の実印と印鑑証明書は必要です。また、印鑑登録を行う際には、同時に「印鑑カード交付申請書」も提出しておくとよいでしょう。こちらも、法務局のWebサイトからダウンロード可能です。
「印鑑カード」の交付申請書自体は、印鑑登録に必要なものではありませんが、「印鑑証明」を取得するのに必要となります。印鑑証明は会社経営においてさまざまな場面で使用するはずですので、印鑑登録を行うときに、印鑑カードも発行しておくのがおすすめです。
続いて、代表者印と間違えやすく、主に認印として使用されることの多い「会社印」との違いを見ていきます。
代表者印と会社印(角印)との違い、使い分け方
代表者印と混同されることの多い会社印。その違いを確認していきましょう。
代表者印は「丸印」で、会社の実印としての役割を果たすのに対し、会社印は「角印」であり、認印(届け出をしていない印鑑)としてのみ使えます。そのため、代表者印と会社印の用途も大きく変わってきます。
丸印 (実印、銀行印など) | 角印 (認印など) |
代表者印は、法的効力を持つ契約書などの書類に使う印鑑です。会社を設立する際には、法務局に実印登録をする必要があります。対して会社印は、領収書や請求書、納品書などへの認印として使用されます。
なお、フリーランスの方は個人事業主なので、代表者印と会社印を使い分ける必要はありません。しかし、「市区町村役場に印鑑登録をした実印が法的効力を持つ印鑑となる」という点は押さえておきましょう。
代表者印を作成する際の注意点
実際に代表者印を作成する際は、印鑑のサイズや書体、素材などに注意が必要です。
それぞれの注意点を詳しくみていきましょう。
代表者印の規定のサイズ
代表者印は法務局の規定により、1cm以上3cm以内の正方形に収まるサイズでの作成が義務付けられています。一般的には、18mmか21mmが定番です。
また、角印を一番大きいサイズで作成し、次いで代表者印、法人銀行印の順で大きく作成する必要がありますので、ご注意ください。
代表者印の刻印内容
図のように、外枠(廻文)には会社名、内枠(中文)には役職名を刻印します。個人名や代表者氏名は入りません。
また、会社名がアルファベットの場合も、そのまま登録が可能です。以前はアルファベットでの登録ができなかったため、カタカナに変える必要がありましたが、2002年の商業登記法の改正から、アルファベットでも登録できるようになりました。
代表者印に適した書体
偽造や悪用を防ぐためにも、読みやすすぎず、かつ読みにくすぎない書体にするのがとよいとされています。おすすめの字体は「篆書体(てんしょたい)」です。
また、事業内容や会社の雰囲気に合わせて、相手に与えたい印象で書体を選ぶのもよいでしょう。
例えば、「古印体(こいんたい)」は読みやすいため、相手に馴染みやすい印象を与えられます。
代表者印に適した素材や形状
破損や摩耗などでつくり替える必要がないよう、なるべく丈夫で長持ちする素材を選ぶことも大切です。重要な書類に使用される代表者印を頻繁に変更すると、信用の損失につながりかねません。
では、実印にはどのような素材が適しているのでしょうか。
一般的に個人印として利用されているシャチハタやゴム印は、使用しているうちに印面が変化してしまうため、代表者印として登録できません。代表者印に使用するおすすめの素材には、以下の4種類があります。それぞれの特徴を表にまとめました。
素材 | 特徴 |
---|---|
チタン | 高級感があり耐久性にも優れているので、印鑑を使う機会が多い方におすすめです。 |
象牙 | 希少性が高く実印としての気品がありながら、摩耗に強く耐久性に優れています。 |
黒水牛 | 水牛の角を使用しています。高級感がありますが、チタンや象牙に比べるとリーズナブルに作成できます。 |
柘(つげ) | 硬度の高い木材です。品質が高く、国産のものは「本柘」と呼ばれています。 |
印鑑の形状には、「天丸」と「寸胴」の大きく2つのタイプがあります。
天丸タイプは法人の印鑑として一般的な形状です。形状が複雑なので寸胴タイプと比べると高価格ですが、フタ(キャップ)がついているので、印面を保護することができます。
寸胴タイプは個人の印鑑と同じ形状です。シンプルな形状のため、天丸タイプに比べて価格を抑えて作成することができます。
代表者印を紛失してしまった場合の対処法
代表者印は重要な書類に使用される印鑑であるため、紛失して悪用されてしまうと非常に危険です。
紛失してしまった場合は、まず速やかに管轄の法務局に届け出をし、印鑑廃止の手続きをする必要があります。
また、悪用されてしまう場合に備え、法務局への届け出だけでなく、警察にも連絡をしておきましょう。
取引のトラブルを防ぐために、場合によっては予定されている取引相手に廃止・改印手続き中であることを伝えておく必要もあるでしょう。
紛失した印鑑の廃止手続きに必要なものは、次の通りです。
- 印鑑・印鑑カード廃止届書(法務局のWebサイトからダウンロード可能)
- 代表者本人の実印
- 代表者本人の印鑑証明書(発行から3か月以内)
- 代表者の身分証明書(運転免許書など)
紛失してしまった場合は、できるだけ早く廃止手続きを行いましょう。その後、新しい代表者印を作成し改印手続きを行います。
改印手続きには、
- 新しい代表者印
- 改印届出書(法務局のWebサイトからダウンロード可能)
- 代表者本人の実印
- 代表者本人の印鑑証明書(発行から3か月以内)
- 代表者の身分証明書(運転免許書など)
が必要となります。
代表者印は重要な契約時に必要となり、企業の存在証明ともなる、非常に重要な実印です。法務局での印鑑登録が必須で、規定にあった印鑑を作成する必要があるため、印鑑作成時の注意点も多くあります。事前にしっかりと確認しておきましょう。
普段から大切に保管、管理しておくのはもちろんのこと、万一紛失した場合には速やかに法務局で手続きを行い、警察にも連絡しましょう。