「請書」の役割と書き方を徹底解説!収入印紙の貼付ルールも

2019年7月3日

「請書」という書類をご存知でしょうか?取引時に発行する書類としては契約書が一般的ですが、請書もまた重要な書類です。

こちらでは、請書の役割や書き方、貼付けが求められる収入印紙についてのルールについてお話しします。

そもそも請書とは?読み方・意味・書き方を解説

ビジネスでは発注書、請求書、契約書などさまざまな書類が発行されます。一方で、「請書」という書類に関しては耳なじみのない方が多いかもしれません。まず、この「請書」の概要についてお話しします。

請書が果たす役割

「請書」は「うけしょ」と読みます。注文請書(ちゅうもんうけしょ)と呼ばれることもありますが、どちらも意味は同じです。

ビジネスの発注者と受注者の間では、いくつかの書類が取り交わされたうえで契約が成立します。発注者から問い合わせを受けた受注者が最初に発行するのが「見積書」です。見積書を確認し問題がなければ発注者は注文書を発行します。

「請書」は受注者の「発注を引き受ける意志」を表明するために発行されます。いわば、発注書に対するレスポンスとして発行される書類です。請書が発注者に渡った段階で、正式な契約が成立したことになります。

請書までの流れ

請書に書くべき内容

請書には一般的に以下のような内容が記載されます。基本的な内容は、注文書の記載事項を繰り返し、確認するものになります。

l  発行日

書類発行の日付。注文書の発行日と同じ日付が記載されることもある。

l  発注者の情報

会社名、住所、担当者、連絡先など。

l  受注者の情報

会社名、住所、担当者、連絡先など。

l  注文内容

品名、数量、金額、納期、納品方法など。

l  支払条件

支払期限、支払方法など。

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請書へ収入印紙の貼付ルール

つづいては、請書に貼付ける収入印紙についてお話しします。ビジネスで発行する書類には、収入印紙の貼付けが求められるものもあります。請書も例外ではありませんので、ご注意ください。

請書に収入印紙が必要になる場合

印紙税法では、「契約の成立を証明する書面」への収入印紙貼付けが義務付けられています。代表的な例が、契約書への収入印紙貼付けです。請書も送付によって契約が成立する書類のため、収入印紙貼付け義務の対象になります。

ただし、この義務は紙面の書類のみが対象です。FAX送信やPDFのデータ送信によって請書を提出する場合、収入印紙の貼付けは必要ありません。取引先が多い場合、収入印紙の購入代金だけでも大きな金額になるため、可能な限りFAXやメールで送ることをおすすめします。

なお、受注金額が1万円未満の場合は課税対象にならないため、収入印紙を貼付ける必要はありません。

請書に貼付する収入印紙の金額

請書の貼付けが必要な収入印紙の金額は、受注額によって段階的に変わります。それぞれの受注額に貼付ける収入印紙の金額は以下のとおりです。

受注額(税抜)収入印紙の金額
1万円未満不要
1万~100万円200円
100万~200万円400円
200万~300万円1,000円
300万~500万円2,000円
500万~1,000万円10,000円
1,000万~5,000万円20,000円
以下略

各収入印紙額は請書の中に記載された税抜の受注額に対応しています。例として、税込み金額が1万円以上であっても、税抜金額が1万円未満であり、請書に税抜金額が記載されていれば、収入印紙を貼付ける必要はありません。

金額の記載がない請書には200円分の収入印紙を貼付する必要があります。なお、収入印紙を貼付ける場所について、特に明確なルールはありません。

消印(割り印)の押印もマスト

請書に貼付ける収入印紙には消印(割り印)が必要です。消印(割り印)を忘れた場合、税務署からの指摘を受ける可能性があります。

消印(割り印)は収入印紙と請書にまたがるように押します。収入印紙と請書の境界線が消印(割り印)の中央に来るように押すのが一般的です。位置の指定は特にないため、収入印紙の上下左右どちらに押しても問題はありません。

印鑑がない場合はボールペンなどによるサインでも代用できます。鉛筆などすぐ消せる筆記用具でのサインは認められていません。

 

請書と契約書の違い

請書と契約書はどちらも「契約を成立させるための書類」です。両者の違いはどこにあるのでしょうか。

大きな違いは、書類としての重要度です。請書よりも契約書の方が、重みが大きいと考えられています。特に重要な契約の場合、請書ではなく契約書を発行するのが好ましいでしょう。

ここでは、請書と契約書の具体的な比較についてお話しします。

請書

請書は注文書に対するレスポンスとして発行され、「契約内容を守る」という意思表示のもと発注者に提出されます。注文書とは対になる書類であり、2つのセットで初めて契約が成り立ちます。受注者が一方的に作成する書類のため、原則として発注者への強制力はありません。

一般的には、受注額が少額の契約で発行されます。

契約書

契約書は発注者と受注者が相互に発行する書類です。注文書(申込)と請書(承諾)の双方の性質を持っており、単体で契約が成り立ちます。また、契約内容についても契約書1枚で証明されます。

双方の同意のもと作成されるため、受注者だけではなく発注者にも強制力がある書類です。重要度が高い契約では、一般的に、請書ではなく契約書が選ばれます。

 

まとめ

実際のビジネスでは、契約書を発行するケースが多いでしょう。しかし、取引によっては、請書を発行するケースも少なくはありません。

一般的に少額の取引で発行されることが多いとはいえ、契約を証明する書類であることには変わりありません。請書を発行する際に備え、こちらでご紹介したようなルールを覚えておきましょう。

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