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[非表示]領収書の但し書きを記入しにくい場合は、但し書きなしで発行しても問題ないかと、迷うかもしれません。この記事は但し書きに必要な基礎知識を網羅して解説します。
そもそも領収書の但し書きとは?
はじめに、領収書における但し書きの定義や目的などを解説します。
何のためにお金を支払ったのか明確にするための項目
領収書の但し書きとは、どのような取引でお金を支払ったのか、明確にするための項目です。したがって、但し書きを記入しなければ、場合によっては正式な領収書であると認められない場合があります。
領収書発行側が記載する
領収書の但し書きは、発行側が記載しなければなりません。仮に受け取った側が記載したり変更したりすると、文書偽造の罪になります。発行側としても、領収書の転用を防ぐために、但し書きを書いておいたほうが安心です。
但し書きに人数を書くこともある
領収書の但し書きに「10名様飲食代として」などと記入することがあります。これは領収書の受け取り側が、会議費で経費計上するためです。1名5,000円以下の飲食費で、社外の人が1名以上参加していることが、但し書きとその他の項目でわかれば、交際費ではなく会議費で処理できます。
領収書の但し書きなしが望ましくない理由
領収書の但し書きは原則として書きましょう。使途不明金として税務署に疑われたり、自社の会計処理が滞ったり、取引先から苦情が出たりする場合があるためです。
税務署に疑われる
領収書の但し書きを記載しなければ、使途不明金として税務署に疑われる可能性があります。本当に売上に関係した取引なのか、なかには、経費として不正に計上しているのではないか、などと疑われて税務調査が入ることもあります。
なお、但し書きなしを避けるために「お品代」と記載することがありますが、この方法も内容が明確でないため、避けたほうが良いでしょう。
経理担当者が困る
但し書きを書かなければ、経理担当者が勘定科目を記載しづらくなります。特に多いのが「お品書」と書かれた領収書で、例えば通信費なのか材料費なのか、大まかな分類すらわかりません。さらに、領収書の処理をどうするべきか上司と相談するなどして、無用な業務時間が発生してしまうのもデメリットです。
顧客からクレームが出る可能性がある
領収書の不備で顧客からクレームが出る可能性もあります。但し書きを省略すると取引先の会計担当者が処理に困り、苦情が出る可能性があります。また、但し書きがなく取引内容が明確でないと消費税の仕入税額控除が受けられない可能性があるため、これもクレームの原因になりかねません。
領収書の但し書きをなしにすると税務調査の対象になりやすいケース
高額の領収書や、事業と関連性の薄い内容の領収書に但し書きがない場合、税務職員が詳しく調べることがあります。
領収書の金額が大きい場合
領収書に但し書きがない場合は、不正処理と疑われる場合があるため、注意が必要です。特に金額が大きい領収書は、税務職員が重点的に調べるのでよく確認して発行しましょう。ただし、人的ミスはどうしても起きるため、請求管理ツールや表計算ソフトのプログラム機能などを利用して、但し書きの記入漏れを自動的にチェックすることが効果的です。
事業と関係ない領収書だと疑われやすい場合
事業と関連性が低い商品やサービスで領収書を発行した場合に、売上にあたるのか調査されることがあります。仮に実際の商品やサービスと違う内容を記入すれば、私文書偽造罪に問われる可能性があります。紛らわしい場合は但し書きで補足情報を明確にしておきましょう。
領収書の但し書きなしを避けるために記載を省略するケース
領収書の但し書きの記載枠は限られているため、内容を書ききれないことがあります。このようなときは無記入にするのではなく省略表記しましょう。
複数の品物を購入したとき
複数の品物に対する領収書を発行する際には、最も高額の商品を記入するのが一般的です。例えば、パソコン本体と液晶ディスプレイ、マウス、キーボードなどを購入した場合は、但し書きに「デスクトップパソコン一式代として」などと記載します。
使用用途が複数あるとき
さまざまな使用用途がある品物が購入されたときは、主要な目的を抽象化して記載します。例えばノートやボールペン、バインダー、クリアケースなどの購入に対して領収書を発行する場合は、「文房具代」などと但し書きに記入すれば問題ありません。
具体的な但し書きを書かないでほしいと言われたとき
具体的な但し書きを書かないでほしい、もしくは但し書きを空欄にしてほしいなどと言う顧客もいるようです。このような場合は「お品代」などと、あいまいに記入する慣例があることは確かです。しかし、顧客が但し書きを勝手に記入するなど不正行為をして後日トラブルになる可能性もあるため、できるだけ但し書きは記入しましょう。
領収書の但し書きを書く際の注意点
領収書の但し書きを書く際は、具体的に、かつ正確に記載しましょう。また、複数の品目がある場合は、発行者によって記載方法が大きく変わらないように注意します。
領収書の但し書きを具体的に書く
領収書の但し書きは取引内容が明確になるように、なるべく具体的に書きましょう。自社の経理担当者や税務職員が内容を理解できるかがポイントです。但し書きが不明確だと、先にも解説したように、税務署から使途不明金だと疑われたり、自社の経理担当者が分類に困ったりしてしまいます。
領収書の但し書きには本当のことを書く
当然のことですが、領収書の但し書きには事実を書かなければなりません。虚偽の内容をを書くと、私文書変造罪や脱税などに問われる可能性があります。虚偽が摘発されれば、罰則を受けるだけでなく、取引相手に迷惑がかかることもあるでしょう。結果として事業に大きな影響が出ることもありますので、事実を正確に記載しましょう。
複数の品目・目的がある場合は但し書きに主要な項目を記載する
複数の品目・目的がある場合は主要な目的を但し書きに書かなければ、何の領収書なのかわからなくなってしまいます。基本的には代金に占める割合が多い商品、サービスを書くのが基本です。事業で発行する領収書には、ある程度のパターンがありますので、記載ルールを作成しておき、担当者によってバラツキを出さない工夫も必要です。
領収書の書き方の基本
正式な領収書として認められるためには、但し書きだけでなく他の項目も正確に記載しなければなりません。各項目の書き方の基本を解説します。
宛名
取引先の企業名や個人名を記載します。宛名には「株式会社」や「学校法人」などを含めた正式名称を記入するのが原則です。前株、後株など細かい内容もしっかり確認したうえで、正確に記入しましょう。
金額
受領金額を税込み金額で記載します。内訳には税抜き金額と消費税額を分けて書きましょう。数字の先頭に「¥」または「金」、末尾に「※」や「-」「也」を入れ、3桁ごとに「,」を記載するのが一般的です。例えば「金12,500円也」などと書きます。
日付
代金を受け取った日付を記載します。西暦または和暦を記入し忘れたり、日付を間違えたりすることが多いので注意しましょう。請求管理ツールで作成すれば、このような作業ミスをなくせるので便利です。
但し書き
購入した物やサービスの内容が最低限わかるように記入します。また、必要に応じて1名あたりの飲食代を記入したり、商品の型番を記入したりするなど、会計処理に困らないように具体的に書くことが大切です。
収入印紙
受領金額5万円以上の領収書には収入印紙の貼り付けが必要です。受領金額が5万円以上100万円以下では200円、100万円以上200万円以下では400円など、金額に応じた収入印紙を貼り付けて消印を押します。
発行者と住所
領収書を発行した事業者の名称や店舗名を記載します。さらに、実在することを明らかにするために、原則として住所、連絡先も併記します。社名に住所が入った社判を押す方法でもかまいません。
領収書の発行は請求管理ツールの利用がおすすめ
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人的ミスで領収書の但し書きなしになることを予防できる
請求管理ツールを使えば、領収書の但し書きの書き忘れを防止できます。また、領収書をテンプレート化しておくことで、記入担当者のバラツキを少なくできる点もメリットです。
領収書に関する業務を効率化できる
紙媒体の領収書を電子化すれば、記入の手間を減らせるでしょう。特に取引回数が多い定型的な業務は、発行や送付、保存の一連の作業はシステムを活用することで、大幅に業務負担を減らせます。例えば、慢性的な人手不足に悩んでいる企業や、事業拡大にともないリソースが不足しそうな企業などには、請求管理ツールの導入が効果的です。
領収書の発行状況をリアルタイムで見える化できる
クラウド型の請求管理ツールでは、データが一元的に管理されるため、領収書の発行情報をリアルタイムで把握できます。さらに、請求書の合計額や入金状況などのデータを、自動的に表やグラフなどでレポート化できるツールもあります。
まとめ
領収書の但し書きは、取引内容を明確にするために具体的に記入しましょう。領収書の発行業務にかかわる人的ミスを減らしながら業務を効率化するには、請求管理ツールの導入が効果的です。
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