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[非表示]領収書を発行する際、顧客から領収書を分割して発行するように、要求されるケースがあります。領収書は要件を満たしていれば分割できますが、場合によっては脱税とみなされることもあるため注意が必要です。そのため、発行者側は分割してもよい領収書なのか把握しておくことが重要です。この記事では、領収書の分割について詳細に解説するので参考にしてください。
領収書は分割可能
領収書は、原則として受け取った金額を分割して発行できます。全額ではなく、金額の一部だけの発行も可能です。しかし、正確な知識をもたずに分割発行すれば、脱税とみなされるケースもあるため注意が必要です。
個人事業主や企業などの法人が、10万円以上の物品を購入した場合、その物品は固定資産に該当します。固定資産は、減価償却により経費を計上しなければならないため、領収書を分割することはできません。つまり、10万円以上の物品を全額当年の経費にするために領収書を分割することは違法となります。
領収書を分割できるケース
領収書を分割できるケースとはどのようなものなのでしょうか。ここでは、代表的なものを3つ紹介します。
割り勘の場合
取引先との会合での飲食費を、割り勘で払うことは少なくありません。割り勘の場合は、事実として割った金額を支払っているので、支払った分の領収書を受け取れます。つまり、領収書の分割が可能ということです。
例えば、自社の社員1人と取引先の担当者1人で1万円の会食費を割り勘したとします。この場合は領収書を分割できるので、各々、額面が5,000円の領収書を受けとることが可能です。
分割払いで支払いをしている場合
分割で支払うケースでは、金額の総額ではなく、1回分の支払い金額が記載された領収書を発行が可能です。
例えば、3,000万円の建物に対する建設費を支払う場合、まず総額の1/3である1,000万円を施工業者に支払います。その後、着工時に1,000万円を支払い、引渡し時に残りの1,000万円を支払います。この場合は、日付は異なりますが、額面が1,000万円の領収書を3枚受け取ることが可能です。
金額の一部だけを経費計上する場合
支払った金額の一部だけを経費計上する場合は、支払った金額内の領収書を受け取れます。例えば、社内規定で3,000円までとされているものを、5,000円で購入した場合は、3,000円の領収書を受け取ることが可能です。
この場合、発行側が但し書きに、「5,000円の商品のうち3,000円分」などと記載するケースがあります。これは、領収書を発行する側が、売上と領収書の整合をとるためです。ただし、10万円を超える固定資産の場合は、一部だけ経費計上するために分割することはできないため注意が必要です。
また、個人事業主などは、買い物をする際に私物と一緒に支払いを済ませるケースがあります。このような場合は、経費計上するものを明確にしておけば問題ありません。できれば、脱税など疑われないようにする意味合いも含めて、私物は分けて支払いすることをおすすめします。
領収書を分割する際の注意点
領収書を分割する際にはいくつかの注意点があります。代表的なものを解説します。
限度額を超えたものは分割処理できない
法律や社内規定などで、経費に限度額が設けられているケースがあります。また、領収書の分割そのものが認められていないケースもあるため注意が必要です。このうち、法律で定められているものは、領収書を分割できません。どのようなケースで領収書の分割ができないのかは、次に解説します。
固定資産を購入した場合
パソコンやデスクなど、1品の金額が10万円を超えるものは、固定資産(減価償却資産)とみなされ、耐用年数に応じて減価償却することが定められています。したがって、領収書の分割は認められません。金額が10万円未満のものは消耗品などとして、購入した年に全額を経費計上できます。
金額が10万円以上のものは、領収書を分割することは違法であり、脱税とみなされる可能性もあります。例えば、18万円の役員用デスクを購入したとして、業者に9万円の領収書を2枚作成させるといった行為です。このような場合に領収書を分割して処理すると脱税とみなされます。
飲食費の領収書の場合
多くの企業は、取引先との会食の費用の上限を5,000円と設定しています。これは、5,000円以下の飲食であれば、飲食等交際費などに計上できて、接待交際費としなくて済むからです。接待交際費は損金不算入や限度額が定められているため、事前に社内規定を確認する必要があります。
社内規定で、上限が5,000円であるのに2人で会食して1万1,000円だった場合、1,000円を自腹で支払い、10,000円を経費計上するために領収書を分割することはできません。税法では全額が接待交際費となるため、領収書の分割は違法となります。
社内稟議にかける際の分割は会社によって禁止されていることもある
企業によっては、業務に必要な消耗品などの購入に対して上限金額を設定しているケースがあります。上限を超えた金額となる場合は、社内稟議を通すことになっている企業も少なくありません。稟議は承認されるまでの時間が必要となるため、上限を超えないように領収書の分割を依頼するケースもあるでしょう。
しかし、企業によっては社内規定により領収書の分割を禁止しています。支払いの手続きを進めるなかで領収書の分割が発覚した場合、あらためて稟議にかける必要があります。決裁が終わるまで支払いができず、かえって手続きに時間がかかることになります。
そのため、社内稟議を避けるために領収書を分割することが可能なのか、事前に社内規定を確認しておくことが大切です。
領収書を分割して発行するメリット
領収書を発行する側が、領収書の分割を希望するケースもあるでしょう。領収書を分割するメリットの1つは、印紙税の節税です。先程も少し触れましたが、一般的な販売による金額が5万円を超える場合は、収入印紙の添付が必要です。領収書を分割して収入印紙を貼らないで済む金額になれば、印紙代を節約できます。
しかし、領収書を受け取る側は、領収書を分割したことで支払い総額がわかりづらくなる可能性もあります。また経理では、領収書で経費の使い道を確認するため、何の領収書なのかわからなくなってしまうかもしれません。領収書を分割する場合は、経理処理のことも考えて判断することが大切です。
分割払いの際の領収書を発行する方法
分割払いの場合は、領収書も分割することは先に触れましたが、領収書に必要な項目は一括払いと同じ内容です。支払回数を記載する必要はありません。領収書の発行に必要な項目は以下のようになります。
【領収書に必要な項目】
・日付:金銭を受け取った日や銀行振込の確認が取れた日を記載。
・宛名:個人や法人名を正確に記載。税務調査で正式な領収書とみなされないケースもあるため、「上様」は避けるほうが無難。
・金額:分割払いで受け取った金額を記載。
・但し書き:取引内容を記載。具体的に商品名やサービス名を記載することが望ましい。
・発行者名:名前・住所・電話番号などを記載。
まとめ
領収書は、支払った金額を分割しての発行が可能です。そのため必要に応じて、発行者に領収書の分割を要望できますが、分割が違法となったり、認められなかったりするケースがあるので注意しましょう。また、昨今普及しつつあるのが発行書類の電子化です。領収書や請求書など発行書類の電子化により業務効率化・コスト削減が期待できます。
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