Pardotの機能・使い方解説|すぐに活かせる豊富なメリットとは

マーケティングの自動化、効率化にあたってMA(マーケティングオートメーション)ツールの利用は欠かせません。Pardotは株式会社セールスフォース・ドットコムから提供されているMAツールで、Salesforce社のCRM / SFAツールと連携して使える点が大きな特徴です。

今回はPardotの特徴や導入のメリットとともに、どのような機能やプランがあるか、導入にあたって参考になる情報を交えてご紹介します。

Pardot(パードット)とは何か  

PardotはMAツールであることを冒頭でご紹介しました。そこで、まずはMAツールについてご説明しておきましょう。

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは

MAツールを使用する目的は、リード(見込み客)を作り出すことです。

営業の初期段階に用いるツールで、新規顧客を獲得したり自社のことや自社商品を知らない相手に興味や関心を抱かせたりして、見込み客になるよう導くために使います。

似たようなツールとしてはCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)ツールやSFA(セールスフォースオートメーション)ツールがあります。

CRMは顧客の分析が中心で、顧客の興味、関心や購入履歴などを可視化します。SFAは顧客との商談を管理し、売り上げにつなげます。

MAツールはSFAやCRMの前段階で使うツールといえますが、近年ではCRM、SFAとMAツールが一体化されたタイプが多く出てきています。

Salesforce Sales CloudとPardotの関係

Pardotは株式会社セールスフォース・ドットコムから提供されているMAツールです。

セールスフォース・ドットコム社からは「Pardot」と「Marketing Cloud」という2種類のMAツールが提供されています。PardotはおもにBtoB(対法人)マーケティングを得意とし、Marketing CloudはBtoC(対一般消費者)マーケティングを得意としています。

ちなみに株式会社セールスフォース・ドットコムは、「Salesforce Sales Cloud」というCRMとSFAが一体化したプラットフォームを提供しており、これまでに15万社以上の企業に導入され、世界No.1のシェアを誇っています。「Pardot」と「Marketing Cloud」は、どちらもSales Cloudと連携可能です。

(画像出典元:Pardot Webサイト

Pardotは営業担当者を支援する機能に優れたツールです。

たとえば、Eメールマーケティングなどの作業を自動化し、上質な見込み客を抽出し、顧客へと育成することができます。

Pardotを利用するメリット

Pardotを導入して得られるメリットには以下のようなものがあります。

優良見込み顧客の情報を抽出できる

マーケティングキャンペーンを適切な対象に運用することで、優良な見込み顧客が安定して流入する流れをつくります。Eメールによるマーケティングも簡単かつ効果的に行うことができます。

見込み顧客をより確度の高い顧客候補に育成できる

顧客の見込み度合いに応じたキャンペーンを構築することができます。成約にいたるまでのプロセスも、個々の顧客の内部スコアやグレード、業界、役職に合わせて最適化し、より関心を惹くEメールを作成することができるのです。

Sales Cloudとの連携でマーケティング・営業効率がアップ

PardotはSales Cloudと連携することによってより効果を発揮します。営業担当者に受注角度が高い見込み顧客を引き渡したり、見込み顧客の情報を営業と共有したりすることも可能です。また、適切なタイミングでマーケティングから営業へ引き渡すことができます。

コストを一元管理してROIを測定

Pardotでは、豊富なレポーティング機能によってマーケティング活動のROI(投資収益率)を測定することができます。レポートは直感的にカスタマイズしやすく、さまざまな指標から、より効果的なキャンペーンやEメールなどを特定することも可能です。

Pardotの機能と使い方   

Pardotには、見込み客の発掘から育成までをサポートする機能のほか、各種レポートの可視化機能もあります。順に見ていきましょう。

見込み顧客を発掘するための機能

入力フォーム・ランディングページ(LP)作成

ドラッグ・アンド・ドロップによる直感的な操作で、見込み顧客の情報の取得や、関心を探るための質問などを含んだフォームやランディングページ(LP)を作成することが可能です。

キャンペーンサイトなどは既存サイトからのインポートから作成することができます。また、それをテンプレートとしてほかのサイトにも利用することも可能。作成したフォームやLPは、営業への通知やスコアの設定などのアクションを合わせて設定することもできます。

フォームを作成するには、「コンテンツ」タブの「フォーム」から行います。

右上の「フォームを追加」ボタンをクリックすると新規作成が可能です。

「名前」>「項目」>「デザイン」>「完了アクション」>「確認と保存」の順番でほぼクリックとドラッグ・アンド・ドロップで作成可能です。

テキストやドロップダウンなどの回答欄のほか、回答者がロボットではないことを確認する「あなたはロボットではありません」という項目も入れることができます。

また、必須チェック、入力するテキストの種類(数字のみ等)の制限なども可能です。

LPは「コンテンツ」タブの「ランディングページ」から作成します。

右上の「landing pageを追加」をクリックすると、メニューが表示されます。

「名前」>「フォームを選択」>「コンテンツレイアウト」>「ランディングページコンテンツ」>「確認と保存」の順に進みます。

こちらもほぼクリックとドラッグ・アンド・ドロップで作成可能です。作成したフォームを組み込むこともできます。

多変量・A/Bテスト機能

LPの効果を評価、比較する多変量テスト機能やメールの効果を比較するA/Bテスト(パターンの違う複数のメールを配信し見込み客の最も反応の良いものを判定するテスト)機能により、キャンペーンの最適化を図ることができます。

あらかじめLPが作られた状態で、「マーケティング」> 「ランディングページ」>「多変量テスト」を選択します。 「多変量テストを追加」ボタンをクリックし、キャンペーン名やLP名を選択すると、テストが完成します。

メールのA/Bテストを行うときは、メールの作成時にA/Bテストを有効化するかどうかを選択します。「Pardotメール」>「新規リストメールを追加」を選択し、「A/Bテストを有効化」にチェックを入れてから保存します。

送信する際にテンプレートを選ぶと、AとBのメールが選択できる状態になります。AとBに違う内容のメールを設定し、それぞれどんなユーザーに対して送信するかを選択し、設定した割合のユーザーにだけまず送信します。

開封率またはクリック率からどちらが良い反応だったかを判断し、その他のユーザーには良い反応だったメールを送信することができるのです。

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見込み顧客を育成する機能

Webトラッキング機能

PardotではGoogle広告とアカウントを連携することにより、アクセスした見込み顧客を広告と結び付けて費用対効果を測定することができます。また、見込み顧客が自社サイトをいつ、どの程度、どのページを閲覧していたかをトラッキングすることも可能です。

「管理」>「コネクター」を選択し「コネクターを追加」ボタンをクリック、「Google広告」を選択し「コネクターを作成」をクリックすることでGoogle広告をトラッキングするコネクターが作成できます。

それぞれの見込み顧客がどのようなコンテンツに興味があるのか、どの程度興味があるのかなどもトラッキングすることができます。

「マーケティング」>「キャンペーン」に移動し、「Webサイトトラッキング」でキャンペーンを選択し、「トラッキングコードを表示」をクリックすると、Webサイトのトラッキングコードが表示されます。

このコードをトラッキングしたい対象のWebページで、HTMLの終了bodyタグの前に貼り付けることでトラッキングが可能となります。

メール配信 / スコアリング機能

Pardotでは簡単に操作できるエディタを使うことにより、プログラミングの知識がなくてもHTMLメールを作成できます。

メールは「Pardotメール」タブより作成します。新規で作成する場合には「ドラフト」>「新規リストメールを送信」から作成しますが、メールテンプレートからの作成も可能です。

また、見込み客がEメールに対してどのようなアクションをしたか、どのような内容がクリックされたかなどの情報を収集し、スコアリングをすることも可能です。

設定したルールに基づき、見込み顧客がどれだけ反応したかを、「プロスペクト」の画面からチェックすることができます。

こういった見込み顧客のデータをリスト化し、マーケティングと営業担当間で情報を共有することで、状況に応じたタイムリーな顧客対応を行うことができるのです。

グレーディング機能

Pardotではグレーディング機能によって、見込み顧客と自社商品やサービスのマッチ度を測定することができます。見込み顧客の属性情報から自社のターゲットにマッチしたグループを抽出し、各種アクションの計画を立てることができるのです。

グレードはA+からFまでに分かれています。デフォルトはDから始まり、自社にマッチする属性の度合いでグレードが決定していきます。

(画像引用元:Trailheadsサイト

高機能な可視化ができる各種レポート機能

Pardotでは様々なレポート機能を利用することができます。

例えば、ライフサイクルレポート機能では、チャネル全体やチャネルごとの状況をレポート化することができます。ボトルネックとなっている箇所を把握して次のアクションにつなげることが可能です。

また、キャンペーンレポート機能では、どのキャンペーン施策がどれだけ効果があるのか、収益につながっているのかを可視化できます。

各種レポートは「レポート」タブから表示させることが可能です。

簡単に状況を可視化できることで、常に改善のサイクルを回すことが可能になります。

プランと料金比較

Pardotには以下の4つのプランがあり、それぞれにオプションで付けられる機能があります。いずれのプランも初期費用は無料であり、30日間無料で試せるトライアルプログラムが用意されています。

各プランで提示されている「プロスペクト数」とは、メールアドレスが提供されたサイト訪問者のことです。

Growthプラン    

月額料金:150,000 円 / プロスペクト数最大10,000
※税抜・年間契約の場合

ベーシックな機能が備わっているプランです。

フォーム、LP作成(25個まで)のほか、見込み顧客の詳細なトラッキングやEメール、マーケティング見込み顧客の育成、ROIレポート機能があり、Salesforce Sales Cloudとの連携が可能です。

Plusプラン    

月額料金:300,000 円 / プロスペクト数最大10,000
※税抜・年間契約の場合

Growthプランよりも分析ツールなどが豊富で、高度なダイナミックコンテンツやA/Bテスト、Google広告との連携などが可能です。

フォームやLPの数の制限がなくなるほか、APIでのアクセスが25,000コール / 日まで可能となっています。

Advancedプラン

月額料金:480,000 円 / プロスペクト数最大10,000
※税抜・年間契約の場合

最も使われているプランで、おもな機能がすべて含まれています。

APIでのアクセスが100,000コール / 日まで可能となっており、開発者用のサンドボックス(外部システムへのアクセスを制限したセキュリティ領域)が2個付属しています。

専用IPアドレスやカスタムロール・権限設定などもできるので、自社の環境に合わせた柔軟な構築も可能です。

Premiumプラン

月額料金:1,800,000 円 / プロスペクト数最大75,000
※税抜・年間契約の場合

大規模ユーザー向けのプランです。

開発者用のサンドボックスは5個付属しており、通常はオプションとなっているB2B Marketing Analytics Plusも5ライセンスまで標準で付属しています。ほかのプランよりも手厚いサポートを受けることが可能です。

まとめと比較

Pardotのプランを総合的にまとめると以下のようになります。

プラン名GrowthプランPlusプランAdvancedプランPremiumプラン
月額料金150,000 円 /
最大プロスペクト数 10,000
300,000 円 /
最大プロスペクト数 10,000
480,000 円 /
最大プロスペクト数 10,000
1,800,000 円 /
最大プロスペクト数 75,000
・フォーム、LP作成
・見込み顧客の詳細なトラッキング
・Sales Cloudとの連携
・Eメール、マーケティング見込み顧客の育成
・ROI レポート機能
Growthの機能に加えて
・高度なダイナミックコンテンツ
・A/Bテスト
・Google広告連携
・API アクセス
・マーケティングカレンダーの連携
・ソーシャルプロファイルとルックアップ など
Plusの機能に加えて
・専用IPアドレス
・カスタムロール
・権限設定
・カスタムオブジェクト設定
・Developer Sandbox など
Advancedの機能に加えて
・Pardot ビジネスユニット
・B2B Marketing Analytics Plus
・プレミアサポート など

なお、Growth、Plus、Advanced、Premiumのいずれかと組み合わせて、さらに機能を追加するための強化製品群が以下の通り用意されています。

製品名B2B Marketing Analytics PlusSalesforce Engage追加プロスペクト
月額料金360,000円 / ユーザー
※税抜
6,000円 / ユーザー
※税抜
12,000円~ / 10,000プロスペクト
※税抜
機能の特徴・マーケティングオートメーション、セールス、サービスのデータから予測インサイトを取得
・Premiumには5ライセンス標準付属
・マーケティングと営業の効果的な連携を早い段階で実現・プロスペクトは追加購入可能

導入の際には、必要となる機能や自社の事業規模などを勘案してプランを選ぶようにしましょう。

なお、Pardotの導入が得意な代理店も多数存在しますので、選択に迷った場合には、そういった代理店に相談をしてみるのもおすすめです。

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